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2015年 02月 22日

椎名キーパーにインタビュー (情報誌マルキーズ2015年新春号に掲載)

アフリカゾウ家族の近況

2014119日 媛ちゃんは八歳のお誕生日を無事に迎えることができました。
砥愛ちゃんは一歳半、ますます元気なやんちゃぶりを私たちに見せてくれています。これから、ゾウさんたちにとって、厳しい冬の訪れです。


●媛ちゃん八歳おめでとうございます。
毎年のことですが、やはり椎名さんは感慨深くその日を迎えられたんでしょうね。
身体だけを見ていると、成長著しい子どもたちですが、姉妹の日々の時間の過ごし方とか、また、姉妹の関係に変化は見られますか?
 ありがとうございます。やはり、みなさんにお祝いしてもらい、リカお母さんやスタッフの愛情をたくさんもらいながら、
媛ちゃんが無事にこの日を迎えられたことが何より嬉しいですね。

 

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 家族に大きな変化は見られないのですが、子どもたちはそれぞれのステージで内面的にも成長しながら、
また、動物園で生きていくルールや群れ社会のルールを学んでいっているところです。
媛ちゃんはまだ少し幼児性が抜けてないところがあります。ご飯がだされると、未だに砥愛ちゃんと奪い合いをしていますから、
まだまだ子どもなんでしょうね。

また、人工哺育の弊害というか、群れ(家族)から離れてひとりで過ごしていることが多いんです。
今は、人間から物理的にも精神的にも引き離す独り立ちをさせているところですが、家族の中で孤立してしまってはいけませんから、
その辺は、私たち飼育員が陰からサポートしてやらなくてはなりません。

 砥愛ちゃんはというと、あの子は根っからの野生児、危なっかしくて、私たちがいつもヒヤヒヤさせられています。
先日も、プールの中にいる媛お姉ちゃんの背中に前足をかけて登ろうとしていたんです。そうしたら、媛ちゃんが動いたもんだから、
バランスを崩してそのままプールの下に真っ逆さまですよ。ちょっと擦りむいたくらいで済みましたが、脚でも骨折したら大変ですからね。


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それから、放飼場とお部屋との仕切りのバーがあるんですが、お母さんとお姉ちゃんは外にいるのに、いつもバーを潜って、
自分だけ部屋の中に入ってくるんです。もう体が大きくなっていますから、背中を傷める可能性があるので、
やむなくバーの高さを上げたんです。アフお父さんの方にもひとりで行こうとしますしね。
砥夢くんが一歳半の頃は、いつもお母さんにべったりという感じで、そんなこと一度も無かったですからね。
今なんて、こんなに寒くなったのに、朝から水浴びをしています。(笑い)

本当に、砥愛ちゃんは逞しいというか怖いものしらずというか・・・そういう意味で手を焼いています。



●アフお父さんとリカお母さんはどんな様子ですか?

アフくんはもう少ししたら、マストの期間が終わります。
最近は、排水溝の蓋を開けることに夢中になっていますね。ご飯に樫の木を与えると枝だけを残して、それを使って排水溝の蓋にひっかけて持ち上げるんです。
開けて遊ぶだけでなく、中に溜まった野菜クズを食べようとしていますからね。なるべく、樫の枝はご飯に与えないようにしています。


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リカさんは穏やかで、子どもたちを愛情いっぱいで育んでいるという感じですかね。



 本当にそうですね。
私も、先日、感動したんですが。砥愛ちゃんが鼻をビュンビュン振っていたら、電柵に触ってしまったようなんです。
今まで聞いたことのないような叫び声をあげて奥に逃げ込んだ砥愛ちゃんに、リカお母さんが近づいていって、鼻で包み込むように撫でて落ち着かせていました。
「ビックリしたのね。大丈夫よ。」とでも言っていたんでしょうかねー。
それに、媛ちゃんまでも、砥愛ちゃんのところに行って背中を鼻で撫でていたんです。

動物の家族愛を見せてもらったという感じでした。


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●ところで、椎名さんに一度お聞きしたかったのですが。動物園の使命とか役割がいろいろありますが、椎名さん自身は、お仕事をするうえで何に重きを置いていらっしゃるのでしょうか? 
 動物の命に関わる仕事ですから、一番は動物のことを最優先に考えて仕事をしています。
私は現場サイドの人間ですから、飼育、調査、研究、繁殖が主な仕事になりますが、やはり繁殖に力を入れて行かなければならないと思っています。
種の保存のための繁殖に力を入れるためには、調査研究をしなければならないし、日本の動物園全体のためには、
調査研究の成果を対外的に報告、発表も必要になります。
また、当然、お客さんに対するものも求められますよね。

 限られた時間の中で、これらのことをこなしていく時間配分は個々の飼育員で違うと思いますが、
やはり、命に関わる仕事なので、そこをおろそかにしてはいけないということでしょうね。


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●椎名さんくらいのベテラン飼育員さんになると、後輩の指導も必要になってくるわけでしょう?
最近、若手飼育員さんたちとゾウさんのトレーニングの練習しているところをよく見かけるんですが。
 指導というより、彼らにまず必要なことはゾウとの信頼関係を築くことなんです。
なるべく、ゾウさんたちと一緒にいる時間を作るように若い子達には言っています。ご飯をあげたり、掃除をしたり、トレーニングをしたり、なんでもいいんです。
ただ、こちらから積極的にゾウに係っていく、そうすることによって信頼が生まれ、こちらの指示にも素直に従ってくれる
ゾウさんになっていくんです。

 リカさんは動物園で生きていくためのルールが身についているので、どの飼育員の指示にも従うことができますが、
媛ちゃんはまだ、人を見ていますし、砥愛ちゃんなんかはこれからです。
もっともっと、積極的に係ってゾウとの信頼関係を築いて欲しいと思っています。


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●それでは最後に、2015年、椎名さんはどのような方向でゾウさんたちに向き合っていかれるのですか?
ゾウさんたちも人間と同じように、兄弟姉妹でもそれぞれ性格が違いますし、成長のスピードも違います。
砥愛ちゃんは、この砥部では三頭目の子ゾウになるわけですが、これから、彼女がどのように成長していくのか、
リカさんもまた母親としてどのように子どもたちに接していくのかを傍から見守りたいですね。
そして、媛ちゃんは適齢期になりますから、早くいい伴侶を見つけてあげたいと思っています。

 

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 少し暖かくなってきたころに、親子四頭を一緒にしてみるつもりです。
また、みなさんに家族四頭一緒にいる姿を見てもらえたらいいかなと思っています。        (取材/文 山岡ヒロミ)




by taketoriouna | 2015-02-22 11:21 | アフリカゾウ家族 | Comments(0)


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