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いきものがたり

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2014年 09月 09日

椎名キーパーにインタビュー (情報誌マルキーズ2014年1月号に掲載)

アフリカゾウ家族の近況

    ――― とべ動物園から ―――

            

秋の動物園はいつも賑やか、大勢のお客さまで賑わっていました。平日は遠足で訪れた園児や児童で、週末は家族連れやカップルで、
お昼時には、ゾウ舎の周りはお弁当を広げおにぎりを頬張る笑顔で溢れていました。

そんな季節のいい頃、毎年、媛ちゃんの誕生会が開催されます。今年は、お天気にも恵まれて、媛ちゃん七歳のお誕生日をお祝いするために、
多くのお客さまが来てくださっていました。

媛ちゃん七歳のお誕生会の様子やアフリカゾウファミリーの最近の様子など、椎名キーパーにお話しをおうかがいしました。


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●媛ちゃんがまた一年健康に過ごすことができて、七歳のお誕生日を無事に迎えられたこと、本当におめでとうございます。
お誕生会が今年も盛大に行われましたが、マルキーズの読者にも、椎名キーパーの喜びの声をお聞かせください。

 育ての親として、またゾウファミリーの担当者として、この日を迎えられたことが何より嬉しいですね。

 人工哺育の子の無事な成長が難しいと言われている中、七歳のお誕生日を迎えられたことは奇跡に近いことであり、
また、それは、媛ちゃん自身の生命力の強さによるところが一番大きいですから、彼女に感謝したいと思います。

 皆さんと一緒にお祝いできたこと、皆さんの温かいお気持ちを直に感じ、お誕生会の日は感無量でした。

 


●親子三頭を一緒にしてから数ヶ月経ちましたが、それぞれの関係に変化はみられるんでしょうか?リカお母さんが媛ちゃんに対して、
時どき、厳しい態度を取っているのがとても気になるんですが・・・

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特に変わりはありませんが、砥愛ちゃんは足腰も強くなって筋肉もついてきて、赤ちゃんというよりは子ゾウになってきたなという感じです。
最近は、媛ちゃんにくっついて行動することが多くなっています。砥愛ちゃんの中ではお姉ちゃんというより、自分よりちょっと大きい子ゾウ、遊び相手なんです。

また、媛ちゃんは初めて砥愛ちゃんに会った頃は、砥愛ちゃんに執着して自分の下に囲おうとすることが多かったのですが、
最近では、砥愛ちゃんがいることが当たり前になって自然な距離になってきていますね。

3頭の親子関係にそう変わりはないですが、リカさんは媛ちゃんに対して躾が厳しくなったというか、ゾウ社会の上下関係を一生懸命に示しています。
ご飯がひとつしかなかったら、これは私のご飯ですよという感じで、媛ちゃんに厳しく当たることがあります。

媛ちゃんや砥夢くんが小さい時には、ご飯があれば、率先して子どもに食べさせていましたが、今は、媛ちゃんのことを
子ゾウを卒業して対等な立場として見
ています。ゾウ社会のなかで、誰が目上なのかということを教えているんです。

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●いつまでも、子どもとして甘やかすのではなく、突き放してゾウ社会で生きるためのルールを身をもって教えているんですね。
野生動物の子育ては凄いですね。でも、そうでなきゃ、厳しい自然界で生き延びることができないってことですよね。

ところで、アフお父さんと砥愛ちゃんを柵越しに一緒に過ごさせることは、まだないのでしょうか?
お父さんが砥愛ちゃんにどう接するのか、とても興味があるのですが。

今、アフ君はマスト(成獣のオスゾウに見られる生理的変化で一定期間乱暴になる時期)に入っています。

何も知らない砥愛ちゃんが近づいても危険ですからね。マストが終わるまでは無理ですね。

●マストに入ると個体にはどのような変化があるのか、具体的に教えてもらえますか?
また、ゾウが危険な状態かどうかは見ていたらわかるとおっしゃってましたが、どこで判断されているのですか?

こめかみから刺激臭の強い分泌液を出し頻尿になります。イライラしていますし、激しい攻撃行動や破壊行動に出たり、
飼育員の号令もきかなくなったりします。

この時期のアフくんに接触することは、事故につながる可能性もあるので、私たち飼育員も細心の注意が必要になってきます。

ゾウさんは体重が5トンもあるような動物ですから、マストの時期にかかわらず、危険かどうかは、目はもちろんですが、
耳の動きや頭など身体全体を見て判断しています。

アフくんのように、怒っている時の目がはっきりわかる子もいますが、個体によってそれぞれ違いますからね。

●七歳になった媛ちゃんや生後半年の砥愛ちゃんに対して、椎名キーパーの接し方の違いはあるのですか?そして、今後、二頭に対して、
またゾウファミリーとして見たとき、どのように接していかれるんでしょうか?

 媛ちゃんは大人になってきているので、もう、私が自分の子どものように育てていく段階ではありません。
私たちがいつまでも可愛い可愛いと接していては、彼女が独り立ちできませんから。

媛ちゃんは人工哺育のせいで、精神的に弱い部分があります。一人で過ごすことに対して、
まだまだ不安を感じて常動行動を起こすことがあるのですが、
媛ちゃんには寂しさに耐えてもらう、私たちキーパーもすぐに傍に行ってやるのではなく我慢する、双方が我慢しながら
徐々に人間との距離をつくるようにしています。

砥愛ちゃんに対しては、これから人間との距離を縮めてもらうために、まずは、信頼関係を築いていかなきゃいけません。
たとえば、触っても怒らない、じっとしている、いうことをきいてもらうなど、そうなるためには、
私たちはあなたに危害を与える存在じゃないんだよってことをわかってもらうことが必要になってきます。

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人間とコミュニケーションが取れるよう信頼関係がしっかりできてから、次のステップに進める、
動物園の中で生きていく術を教えながらの接し方になっていきます。

アフくんに対して、リカさんに対して、また媛ちゃんや砥愛ちゃんに対しての接し方はそれぞれ違うんですよ。

砥夢くんがいなくなって寂しくなったゾウ舎が、砥愛ちゃんの誕生によって活気を取り戻し、家族はいい感じにまとまってきています。

今後は、それぞれのステージでの成長を見守りながら、動物園で暮らす飼育下のゾウさんとして、家族が快適にそして幸せに
暮らして行けるようサポートしていきたいですね。

今年もまた、この家族のいろんな姿や椎名キーパーの家族に寄せる思いなど、お伝えしていきたいと思います。

                                          (取材・文 山岡ヒロミ

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7月に放送があった「感動!熱血レジェンド動物園~世界が認めた熱血飼育員」が遂にというか、やっと愛媛でも放送されます。
13日土曜日16時~あいテレビ  アフリカゾウ家族と椎名キーパーが登場するはず。。。  見てね!



by taketoriouna | 2014-09-09 18:47 | アフリカゾウ家族 | Comments(0)


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