2014年 07月 04日
国内のゾウは高齢化も進み、このままでは日本の動物園からゾウの姿が消えていまうと言われています。 とべ動物園にいたアジアゾウのハナ子と太郎も亡くなってしまい、いまアジアゾウ舎にはだれもいません。 こんな風に、ゾウがだんだんといなくなっているのです。 アフリカゾウの繁殖成功例は130年の動物園の歴史の中でわずか8頭、そのうち3頭がとべ動物園で生まれた、媛・砥夢・砥愛なのです。 赤ちゃんが生まれても、子育てができない母ゾウが多いのも悲しい事実です。 母親が孤児院から来ていたり、また人間に育てられたことによって、子育ての仕方がわからないのです。 野生では母系の群れで生活しているゾウたち、年長ゾウが妊娠した雌ゾウを支え、出産を見守り、子育ても手伝います。 また、群れの中で生まれた子ゾウは、お母さんやおばさんたちの子育てを見ながら成長していくのです。 1988年、推定年齢1歳半のリカはアフと共にアフリカのゾウの孤児院から連れられて来た子でした。 ゾウ社会の中にどのくらいの期間いられたのか、母ゾウと一緒にいられたのは数日だったかもしれません。 リカさんにやっと授かった命、しかし1頭目も2頭目も元気に生まれてくることはありませんでした。 飼育員さんたちの落胆する姿が目に浮かびます。しかし、一番辛い思いをさせてしまったのはリカさんだと椎名キーパーはその時のことを振り返ります。 そして、2006年、3頭目にやっと生まれた新しい命、媛ちゃんです。 孤児院で人間からミルクを飲ませてもらっていたリカ、実の母のおっぱいをどれくらいの期間飲むことができていたのかはわかりません。 赤ちゃんゾウを見るのも初めてだったのでしょう。 私は動物園に行ったことはありませんでしたが、ニュースで「母親リカが育児放棄したため、媛ちゃんが人工哺育になった」と聞き知ってはいました。 それが3年前、椎名キーパーにお会いして、子育てができない理由は母親の生い立ちが深く関わっていることを知ったのです。 私は怒りがこみ上げて、簡単に育児放棄という言葉を使わないで! アフリカで密猟や自然破壊など、何らかの理由でひとりぼっちになったリカ。 子育てしなかったんじゃなく、したくてもどうしていいのか、生まれてきた赤ちゃんをどう扱っていいのかわからなかったんじゃない。 人間が自然界にしてきたことを含め、もの言わぬ動物たちの代わりに、わたしはこのことをまず伝えていかなきゃ、そう思ったのです。 今、媛ちゃんは7歳になり妹砥愛ちゃんの面倒をみるお姉ちゃんに成長しました。 ゾウの飼育下繁殖は非常に難しいと言われています。 人工哺育もうまくいかないことも多く、4歳までに亡くなった子が多いんじゃないかなー。。。 媛ちゃんが奇跡の子と言われている所以です。 そしてまた媛ちゃんは奇跡を起こしてくれると信じています。 人工哺育で育った媛ちゃんが、無事出産し子育てする姿を見れると・・・ まだまだ、身体もひとまわり小さくて、未だに雨や風を怖がり幼さが残る媛ちゃんですが、あなたならきっと大丈夫。 しかし、これは奇跡という言葉で簡単に片づけちゃいけない気がするんです。 媛ちゃんの生きる力、生きようとする力が強かったのは事実だけど、 その陰には、強い思いと愛情で、傍でずっとこの家族を支えてきた飼育員さんの存在が大きいと思うんだよなー。 とべ動物園のアフリカゾウたちにとって、飼育員さんは家族です。心を許した家族、信頼している家族なんです。 媛ちゃんや砥夢くんの出産時の動画、みなさんは見たことがおありでしょうか。 出産後の母親に人間が近づくことはとても危険です。 リカの足を鎖で繋いでもいないところへ、椎名キーパーは柵の中に入り媛ちゃんを守ったり、砥夢くんの羊膜をリカお母さんと一緒に剥がしたり、 椎名キーパーはゾウなんです(^-^; (すいません。ちょっとふざけてしまいました。) そこまでの信頼を得るには、並々ならぬ努力があったに違いありません。 リカお母さんは、もう立派なゾウのお母さんになりました。 媛ちゃんの出産のときは、不安と恐怖の中パニック状態にもなったけど、だんだんと成長していく媛ちゃんを柵越しに見ながら、 徐々に育まれた母性、砥夢くんの時にはおっぱいを飲ませ、自分で子育てできるまでになったあなたは凄い! 普通ならゾウの社会のなかでしか学べないようなことを、リカさんはやってのけたのです。 母性を引き出し本能を呼び覚まし、そこまでに至ったのは、やはり飼育員たちの思いとサポートがあったからこそでしょう。 椎名キーパーが「直接飼育が一番いいゾウの飼い方だと思っている」その言葉の重みを感じます。 家族のように接して、この子たちを愛してやまない椎名キーパーのこころが伝わったのだと思います。 3年前初めてお話を聞いたとき、一番おうなの心に響いた言葉 「・・・『強制』ってやり方もありますが、自分は共に生きる『共生』だと思っているんです。」 「・・・ゾウの場合やはり、家族として集団で生きていくのがベストなんです。鼻が長くて耳は大きくて外見はゾウさんなんだけど、内面はゾウさんじゃないってのでは困ります。 ゾウが本来持っている本能をうまく芽生えさせてあげたいんです。」 再びその言葉を思い出し、改めて、椎名キーパーの凄さに感動いたしました~。 砥愛ちゃんの子育てに関しては、何も心配することなく見ていられるとおっしゃる椎名キーパー。 リカお母さんは、砥愛ちゃんを優しく包み込み見守りながら、危ないことは止めに入り、ちゃんと叱っています。 素晴らしいゾウのお母さんになりました。 砥夢くんのときもそうでしたが、砥愛ちゃんのテンションが上がり、飼育員さんに体当たりしたり、のっかかるのをお母さんは見ているんです。 そして、度が過ぎたり、危険だと思ったら、「いい加減にしなさい。飼育員さんがつぶれちゃいますよ。」と言わんばかりに子どもたちを止めに入る姿を見た時、 リカお母さんも飼育員さんを大切に思っているし、ゾウと人間の違いも、そして何もかも理解しているんだと思ったんです。 今さらながら、とべ動物園の飼育員さんも含めアフリカゾウ家族は素晴らしい! 媛ちゃんはお母さんのおっぱいを一度も吸ったことはないけれど、砥夢くんや砥愛ちゃんに授乳しているお母さんの姿を、赤ちゃんの扱い方を横で見ています。 そして、小さな砥愛ちゃんを守らなきゃいけないってことまで理解しているあなたなら、きっとできる。 リカお母さんともうひとりのお母さんのそばで、出産子育てしてくれる日が近い将来来るに違いありません。 媛ちゃんの赤ちゃんとじゃれる砥愛ちゃん、そんな姿も見たいな~ そして、誰よりもその日を待ち望んでいるのが、育ての親である椎名キーパーなんでしょうね。 そして、ずーっと何年もこの家族を見守って応援してくださっている方々なんですよね。 ゾウさんたちに対する思い愛情はおうななんかよりも、ずっと深いと思います。 かぐや媛は偉そうにゾウさん家族を支援していますなんて言ってるけど、何もできていない。 穴があったら入りたい気分(><) 誕生会やったりサツマイモ作ったり、表面的なサポートに過ぎません。 何よりも大きな力となるのは、愛の力。みなさんの思い願いの力です。 椎名キーパーが絵本「ボクたちは家族Ⅱ」の巻末にコメントをくださっています。 その最後に 「この家族の物語はまだまだ始まったばかりです。 みなさんに見守られ、成長していく子どもたち。この家族の将来を案じ守れるのは皆さんの心・愛情なのです。 これからも、この家族を見守り応援をお願いします。」 とあります。 本当にみなさんお願いします。
by taketoriouna
| 2014-07-04 23:38
| おうなの日記
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