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いきものがたり

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2014年 06月 30日

椎名キーパーにインタビュー

おうなが、アフリカゾウ家族のことを知るきっかけになった情報誌マルキーズのインタビュー。
2011年7月31日に初めて椎名キーパーに取材でお会いしたのですが・・・
それから、3カ月に1度「アフリカゾウ家族の近況」を取材させてもらってます。
4月号に載せた記事をご紹介しますね。

(^-^; 実はブログに書く話題がなかったの。。。 7月号は出たばっかりだから、いずれまた(^^)v



砥愛ちゃんが家族に加わって10ヶ月が過ぎたわけですが、最近の家族の様子に何か変化は見られますか?
  

砥愛ちゃんは行動範囲が広がり、一人で遊ぶことも多くなりましたね。近頃は、お母さんよりも媛お姉ちゃんと一緒にいる時間
のほうが増えてきて、お母さんの方も媛ちゃんに預けている感じです。

 媛ちゃんは、今年に入って親子で一緒にいるようになってから、常同行動も減ってきています。
また、自分からお父さんに近づいていくことは少なかったのですが、最近は積極的にお父さんとの関係を作ろうとしています。
人工哺育で育った媛ちゃんは、人間に依存するところが大きかったのですが、徐々にゾウさんたち家族の一員として、
精神的にも成長してくれているのかなと思います。


IMG_2214のコピー 



 先日、少しプールに水を張ると、砥愛ちゃんは水の中でゴロゴロ横たわり足をバタバタさせて水浴びを楽しんでいました。
以前だったらお母さんは、小さなゴムのプールでさえ、砥愛ちゃんが溺れるのではないかと心配して止めに入っていましたが、
今回は見ているだけでしたから、お母さんも安心して子どもの成長を見ていられる、母親として落ち着いてきていますね。
このゴールデンウィーク明けくらいには、プールで水遊びする姉妹の姿を見ていただけるんじゃないでしょうか。

 
 砥夢くんがいた頃、媛ちゃんとプールで長い時間遊んでいたりすると、お母さんはプールに入っていって、
「そんなに長く水に浸かっていたらダメですよ。もう出なさい。」と言わんばかりにふたりを押し出していました。
もしかしたら、そんな子育ての様子まで、みなさんに見ていただくことができるかもしれません。


砥夢くんは先日5歳のお誕生日を迎え、多摩動物公園さんより動画が届いていたようですが、
それをご覧になって、いかがでしたか?

脚も体も大きくなっていましたね。こちらにいたときは、遊び相手の媛お姉ちゃんがいたり、直接飼育という中での
キーパーとのスキンシップがあったわけですが、多摩は準間接飼育、キーパーとの柵越しでの付き合いにも、この1年半で慣れてくれたようです。
ひとり遊びも楽しんでいるようでしたし、チーキおばさんと力比べしたりしていましたから、
砥夢君も多摩での自分の居場所を見つけて、楽しみながら暮らしてくれているのかなと思いましたね。

彼はまだ5歳、これから成長する段階において、担当キーパーさんとの信頼関係を築きながら、動物園動物として
立派なオスゾウに成長してもらいたいですね。


特に群れで生活をする動物にとって、動物園で仲間がいないことはストレスになるのですか?なるとしたら、対応策的なことは? 

  IMG_2350のコピー



 そうですね。野生にいたら、
動き回って探査行動したりエサを探したり仲間と遊んだりして、時間を持て余すことはないですが、
動物園動物は
狭い限られた空間の中で、ひとりでいたりするわけですから、動物たちがストレスを感じ精神的にまいらないよう
配慮してや
らなければいけません。ひとりでも退屈しないように遊び道具を入れてやるとか、トレーニングを楽しみながら行うことによって、
退屈させないように工夫しています。

ゾウに関しては、直接飼育という形をとっていますので、近くにいてあげることで、仲間意識を持ってもらうようにしています。
しかし、危険なことがあってはいけませんから、スキンシップやトレーニングをする
中で、ゾウとの関係性をしっかり築いておく必要がありますね。

  

砥愛ちゃんは以前に比べると、キーパーさんたちとのコミュニケーションが上手にとれるようになってきたように見えるのですが、
次の段階である動物園で生きる術を教えることは始めているのですか?

 いや、まだその段階には進んでいません。人間に突進してくる回数は減りましたが、遊びの中でテンションが上がってくると、
加減がわからなくなります。まだ、砥愛ちゃんは赤ちゃんですから、動物園で生きるための人間との関係を構築するには少し早いですね。

 しかし、自分たちの安全をキープするためにも、また今後も直接飼育を継続していくためにも、ある程度のことを教えていかないといけないので、
歳を過ぎたころから徐々に始めるつもりです。


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 私のなかでは、直接飼育がやはり一番いいゾウの飼い方だと思っていますが、直接飼育をするには、キーパーの高度のコントロール技術や
人間とゾウとの信頼関係が必要になるんです。

リカさんは人間とどう付き合えばいいのか理解していますが、媛ちゃんはというと、私以外の人間との接し方には不安が残ります。
直接飼育を続けていくためには、ゾウさんたち
にも頑張ってもらわないといけませんが、
それ
より私たちキーパーが努力しないといけないのです。
新しいスタッフにも、作業をする中でゾウさんたちと関わり合いながら、ゾウという動物をわかってもらい、
ゾウとの関係性をどう築いていったらいいのかを学んでいってもらいたいですね。
そして、いろんな飼育
技術を覚えてもらい、引継ぎをしっかりとしていかないといけないと思っています。

                                                              (取材・文 山岡ヒロミ)





by taketoriouna | 2014-06-30 22:19 | アフリカゾウ家族


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