アフくんは幸せだったと思います ~飼育員の愛情編~

先日の地元新聞の地軸にアフ君のことが書かれていました。
井の頭のはな子さんのことにも触れ、命の矛盾を抱える動物園の労苦を・・・
アフは幸せだったのか。と最後に投げかけていましたが。

わたしは、アフくんは幸せだったと思います。


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まだ赤ちゃんだったころ、心に深い傷を負ったアフくん。
もしかしたら、目の前で人間に親や家族を殺された子かもしれない。牙をえぐり取られるところを見たのかもしれない。

ゾウの孤児院から野生に帰る子たちもいるけれど。
野生にいたほうが幸せだったのか!動物園に来たほうが幸せだったのか!その答えは誰にもわかりませんよね。

でも、人間に対する怒りや恐怖心を持ったままで一生を終えるより、多くの人間に愛される喜びを知って大切にされて一生を終えてくれて良かったって、わたしは思うんです。

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リカさんと一緒に日本に来て、こよなくゾウを愛する飼育員に出会って、多くの人間の愛を知って・・・
家族を持ち一緒に暮らせたことは、29年は短い一生ではあったけど、このとべ動物園で幸せな時間を過ごすことができたんじゃないかって思います。


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アフくんが背を向けている時、椎名キーパーが「テン(椎名キーパーはこう呼んでいました)さん」と、優しい声で呼ぶと、
その大きな体を動かしこちらを振り返り、のっしのっしと歩み寄ってくる。
この時のアフくんは、とっても優しい目をしていました。
29年間ずっと傍で家族のように寄り添ってきた椎名キーパーのことが大好きなんだろうな~って。


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アフくんは頻繁にマストが来ていました。マストの時のアフくんは苦しそうで痛々しくて見ていられませんでした。

もっと広いところで思いっきり駆け回らせてやることが出来たら・・・
そう思ったことは何度もあります。
今年度はとべ動物園のゾウ舎放飼場も広げる計画があります。早く実現することを祈っています。 


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自分の牙をコンクリートの壁や鉄柵にぶつけて、アフくんの牙は根元から折れ、傷口には血がにじんでいました。
お願いだから、自分を傷つけないで!牙を傷つけないで!わたしは心の中で叫んでいました。
もしかしたら、アフくんは牙が憎いのかもしれない。
牙のせいで家族が殺されたことがわかっていて、自分で牙を折っているんじゃないかって思ったくらいです。

「ここでは、誰もアフくんを傷つけたりしないよ。」

飼育員さんは毎日2回から3回、傷口を消毒していました。
菌が脳に回ったら大変なことになります。動物園だったら、こうやって怪我の治療もしてくれる。


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一日の中で外に居られるのはわずか7時間、残りは狭い部屋で過ごさなきゃならないんです。
飼育員さんたちはアフくんたちが夜中じゅう退屈しないように、色んな工夫をされていました。

毎日毎日、この家族が少しでも快適に幸せに暮らせるようにと。。。


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アフくんの放飼場にはプールがありません。コンクリートに囲まれた真夏のゾウ舎の暑さといったら、人間には耐えられません。日陰も無い炎天下・・・
真夏のある日 「冷やし象 はじめました」 こんなお知らせがゾウ舎前に(^0^)

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アフくんにホースのシャワーです。
「気持ちいいね~!アフくん」

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椎名キーパーはこの環境の中で精一杯の努力をし、そして、誰よりも愛情を注いできたのです。
アフくんに伝わっていたと思います。
人間に愛される喜びを知って、家族を愛する喜びを知って、大切に育まれたアフくん。
アフくんの瞳はいつも穏やかで幸せそうでした。

「アフくん とべ動物園に来て良かったよね!?」




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by taketoriouna | 2016-04-22 09:24 | アフリカゾウ家族 | Comments(0)
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